「ぼたんの会」の活動紹介
震災は、私たち市民が互いに助けあい、支えあうことの大切さを教えてくれました。そして復興の過程の中で生まれた多くのボランタリーな活動は、今や地域社会の中で無くてはならない存在となっています。地域の中で見れば、神戸は日本で最も密度が高いと言えるかも知れません。
しかし、全国に誇るべき、こうしたボランタリーな活動の担い手であるNGO/NPOが財政的に極めて厳しい状況にあることも事実です。
かたや、そうした活動に参加する気持ちがあっても時間や、個人的な事情のために、ためらいを感じておられる方もたくさんおられます。 そこで、こうした活動を支える仕組みの一つとして、「寄付」という参加の形があることを多くの人々に知ってもらいたいという想いから「ぼたんの会」はスタートしています。
2002年ころより関係者で後の「夜会・ぼたんの会」につながる企画を中心に検討を始め、2003年度より現在の形で本格的に活動を開始し、現在に至っています。
「ぼたんの会」をはじめて5年目を迎え、この間多くの市民の皆さんの暖かいご支援・ご協力により、神戸を中心とした地域に芽生えてきたNPO/NGOの活動基盤を支えるしくみのひとつとして定着してきましたことに、厚く御礼を申し上げます。
ぼたんの会実行委員会 代表 黒田裕子
神戸を愛する多くの皆さんが、少しずつ善意を持ち寄って、楽しく、豊かに、ひと時をともに過ごしながら、震災後に芽生えてきた、支えあいの心や繋がっていく喜びを確認し、ボランティア活動への理解と支援の輪を拡げる機会として、NPO/NGOが協働し、事業遂行のノウハウを学び、その活動のための財源を獲得することを、「ぼたんの会」の目的としています。
「ぼたんの会」の仕組みは、各構成団体がイベント等のチケット販売などで協力し合い、その売上の40〜50%を努力に応じて各構成団体へ還元するMSI事業(mutual
supporting institution)方式を採用しています。事業の内容は、コンサート、パーティー、講演会など多岐にわたり、年間少なくとも2つ以上の企画を行っています。
※ネーミングの由来
牡丹は、5月初旬に豊麗な花を咲かせますが、寒気にも強く、他の植物が冬季休眠中でも、すでに地中の根は活動を始め、その朱色の太い芽は逞しく、力が漲っています。また「ボタン」は、離れたものを繋ぎ合わせます。ふたつの意味を込めて、この会を「ぼたんの会」と名付けました。
当会の発足にあたり下記の皆さんに呼びかけ人をお引き受けいただき、ご協力・ご尽力いただいています。
氏名 | 分野 | 氏名 | 分野 |
---|---|---|---|
伊勢田 史朗 | 芸術 | 陳 舜臣 | 作家 |
今井 鎮雄 | 社会 | 筒井 康隆 | 作家 |
今田 忠 | NPO | 下村 治生 | 経済 |
岩田 弘三 | 経済 | 中西 勝 | 芸術 |
永 六輔 | 作家 | 並川 明子 | 教育 |
戎 正晴 | 法曹 | 新野 幸次郎 | 学術 |
小倉 啓子 | 演劇 | 西 正興 | 経済 |
菊地 由紘 | まちづくり | 灰谷 健次郎 (注) | 作家 |
白 永煕 | 社会 | 三木谷 良一 | 学術 |
小林 博司 | 経済 | 南 裕子 | 学術 |
小森 星児 | 学術 | 室崎 益輝 | 学術 |
小山 乃里子 | パーソナリティ | 矢崎 和彦 | 経済 |
下村 俊子 | 経済 | 柳田 邦男 | 作家 |
瀬戸口 仁三郎 | 経済 | 李 文伊 | 社会 |
芹田 健太郎 | 学術 | 林 同春 | 経済 |
(注)なお、灰谷健次郎さんは2006年11月に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。
これまでの活動において、主に下記の企業・団体より絶大なご支援を頂いてきました。
シスメックス株式会社
株式会社積水ハウス
株式会社フェリシモ
財団法人神戸新聞文化財団
北野ガーデン
神戸風月堂
「ぼたんの会」は下記団体の企画・運営・売上・広報などの協力・協働で事業を実施しています。
ギャラリー島田の文化支援活動。神戸の創造的文化の交流拠点として発信するとともに、そうした文化を支える基盤づくりを目指しています。
人権を侵害された外国人の移住労働者のための裁判を支援する基金です。
若い芸術家たちが、芸術のユートピアを目指し、翼を未来へと拡げるような活動の成果を発表するための資金の一部を支援する基金です。
自由な生の営み・何ものからも干渉されることのない場所を獲得したいという願いからはじまり、現在はさまざまな文化・研修活動の提供やアジアから来た留学生等を支援する奨学金支給を通して、いろいろな「出会い」の場の創造を行っています。
地域でまちづくり活動を行う個人や団体に対する支援を行うとともに、まちづくりに関する調査・研究及び政策提言を行い、地域住民の住みよいまちづくりに寄与することを目指しています。
地域の人による、地域のための市民活動や市民事業を支援し、より住み良い環境と市民社会の実現をめざす総合サポートセンターです。
市民がまちを創る─そんな社会をめざして、市民活動・市民事業を行う団体や個人のサポートと、その取り組みの社会への発信、また、活動環境を整えるため、企業・行政や広く市民への働きかけなどをおこなっています。
大震災をきっかけに設立したコミュニティ・ファンド。被災地を中心に活動する市民活動団体に対する支援を通して、震災で学んだ「市民主役の市民社会形成」を目指しています。
震災ボランティアから始まり、現在は生きがい仕事づくりとしての「まけないぞう事業」や「災害救援活動」を通して、市民が主体的責任をもって関わる新しい市民社会形成の為に身の丈にあった恊働の働きを実践する場を作っていくことを目指しています。
子どもたちがのびやかで豊かな「子ども時代」を過ごすことができる環境づくりをすすめます。
自然災害で被災した障害者市民を息長く支援するとともに、いつどこで起こるかも知れない大災害の備えとして救援基金をつくっています。障害者市民防災にも力を入れて取り組んでいます。
代表は(特活)しみん基金・こうべ理事長の黒田裕子が、また事務局長は(特)神戸まちづくり研究所理事・事務局長の野崎隆一が務めています。事務局は、(特)しみん基金・こうべが担っています。
これまで「ぼたんの会」では、各構成団体の協働により下表のようなイベントを実施してきました。
2007年5月で5回目を迎えた「夜会・ぼたんの会」は、毎回各界の多彩なみなさんに集っていただき、市民活動を応援するお洒落なひと時を共有するファンドレイジングパーティーとして定着してきました。
また、2005年1月より復興支援コンサート実行委員会と共催で実施してきました「117メモリアルコンサート竹下景子”詩の朗読と音楽の夕べ”」では、震災に寄せて様々な想い託した詩を公募し、毎年竹下景子さんに朗読していただき、震災の経験の振り返る良い機会を提供してきました。
そして、これらの活動を通じて、NGO/NPOの活動資金として 1千百万円が還元されました。
開催年 | 月日 | イベント名 | 場所 |
---|---|---|---|
2003年 | 4月11日 | リレートーク 永六輔・灰谷健次郎・柳田邦男 | 松方ホール |
4月11日 | 「夜会・ぼたんの会」(第1回) | 北野ガーデン | |
2004年 | 1月16日 | 「天満敦子コンサート 祈り」 | 松方ホール |
3月20日 | トーク・ナイト 永六輔「今、一番いいたいこと」 | ラッセホール | |
4月23日 | 「夜会・ぼたんの会」(第2回) | 北野ガーデン | |
2005年 | 1月18日 | 「竹下景子 詩の朗読と音楽の夕べ」 | 松方ホール |
5月20日 | 「夜会・ぼたんの会」(第3回) | 北野ガーデン | |
2006年 | 1月17日 | 「竹下景子 詩の朗読と音楽の夕べ」 | 松方ホール |
5月19日 | 「夜会・ぼたんの会」(第4回) | 北野ガーデン | |
9月2〜12日 | チャリティ美術展 | ギャラリー島田 | |
2007年 | 1月17日 | 「竹下景子 詩の朗読と音楽の夕べ」 | 松方ホール |
5月18日 | 「夜会・ぼたんの会」(第5回) | 北野ガーデン | |
2008年 | 1月17日 | 「竹下景子 詩の朗読と音楽の夕べ」 | 松方ホール |
5月22日 | 「夜会・ぼたんの会」(第6回) | 北野ガーデン |
これまでの活動における収支決算は以下の表のとおりです。
科目 | 金額 | 備考 | |
---|---|---|---|
収入の部 | 売上金(C) チケット・作品 | 23,160,060 | |
その他の収入(助成金・協賛金等) | 1,825,351 | ||
収入合計(A) | 24,985,411 | ||
支出の部 | 諸経費(会場費・広報費等) | 11,065,496 | |
諸謝金 | 1,350,000 | ||
還元金(D) 各構成団体へ還元 | 11,429,078 | (D)/(C):49.3% | |
支出合計(B) | 23,844,574 | ||
収支差額 (A)−(B) | 1,140,837 |
上表の還元金(D)は、おもに各構成団体のチケット販売等の売上金に応じて還元され、それぞれのNPO/NGOの活動を支える貴重な資金源として活用されることを通して、民間の立場で自発的・自律的に社会に参画し、命と暮らしを支えあう持続可能な市民社会の創造に寄与しています。