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神戸・子どもと教育ネットワークを訪ねて-夏休み・おやこ平和学習-

2018年9月1日(土)助成団体のひとつである神戸・子どもと教育ネットワークが行う「おやこ平和学習」がのびやかスペース「あーち」(灘区民ホール)でありました。参加者は3歳から中学2年生の子ども8人と保護者・ボランティア14人の計22人。イベントが10周年を迎えるので集大成として冊子にまとめ、来年3月の神戸大空襲の時期には紙芝居・コント・展示の工夫などして発表する予定です。

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語り部の米倉澄子さんは昭和10年灘区のお生まれです。学童疎開や戦時中のくらしを臨場感たっぷりに再現され、参加者は気持ちを集中して聞き入りました。

当時は極端な物不足でボタンやファスナーが手に入らず服は布のひもで留めていたこと。疎開先では空腹をがまんできず畑の野菜を食べたこと。農家の人たちは黙認してくれたそうです。でもあるとき次の年にまく「種イモ」を食べたことから厳しく叱られ、6年男子全員が集団脱走を図ったこと。学校では空襲警報が出るたびに運動場に避難して、耳や目を指でふさいで腹ばいになったこと。米軍機は建物に爆弾を落とすので校舎の外に避難するのですが、身を守るものが何もないところでじっとしているのはどんなに怖かったでしょう。こんな状況でも米倉さんは日本は神の国で天皇陛下は神さまと信じて疑わない「少国民」でした。人が人でなくなり「死」に無感動になるのが戦争だとおっしゃいます。

歯切れのよい話しぶりに思わず引き込まれましたが、内容は深刻悲惨なもので今では想像もできないことばかりでした。
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午後はお話をもとに「平和新聞」をつくりました。子どもたちは、疎開先で食べた天井が映るほど薄い「天井粥」のことや「少国民」と「小国民」の違いなどを米倉さんに質問しながら、付箋に書き出した「心に残ったこと」「わからないこと」「同じと思ったこと」その他を記事にしていきます。代表の池見宏子さんは決して強制はせずに子ども自身が考えて新聞を完成させるように気を配っていました。まず事実を正しく理解した上で一人ひとりが「平和」の意味を考えることが大切だと学習会に参加して感じました。

戦争の体験を直接聞くことは語り部さんの高齢化により難しくなっています。この団体では「語り部体験家族」と称して、家族または同程度の小さな集まりで語り部さんの負担を軽くしてお話をしてもらい、その内容を何の脚色もせずそのまま再現できる人を育てる取り組みを始めています。

記憶をつないで形に残し人から人へ確実に伝えていくことは相当な努力が必要です。人々の記憶から戦争が消えたとき、歴史からも消えてしまいます。地道な取り組みが続くことを願って会場を後にしました。

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