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被災地に学ぶ会 ‐継続的な支援の在り方‐

私は29日にしみん基金・KOBEが助成を行った被災地に学ぶ会・神戸大学学生震災救援隊主催の宮城県丸森町現地活動報告会にオンラインで参加しました。被災地に学ぶ会は様々な学生ボランティア団体と一緒に活動しており、各団体のネットワークの中心的な役割をされています。参加人数は25名ほどで様々な方が参加されていました。報告会では神戸大学学生震災救援隊の皆さんが現地に行って感じたことを報告してくれました。

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宮城県丸森町は201910月に台風19号で大きな被害を受けました。その日は1日で10月の平均雨量の3倍の量の降水があり、水害が発生しました。

救援隊と被災地に学ぶ会の皆さんは同年の12月から月一回の頻度で現地に赴き土砂の撤去や掃除だけでなく、たこ焼きづくりや足湯とハンドマッサージをしながら現地の人とお話をすることで交流を深めていきました。しかし、新型コロナウイルスによってこのような活動を行うことが困難になりました。3か月間活動が停止してしまいましたが、20206月から活動をオンラインに切り替え被災者の皆さんとの交流を続けました。実施した理由は被災者の皆さんから「忘れられているのではないか」との不安を伺ったからだそうです。

2021年は9月から数か月間準備したのち、同年12月にようやく現地に赴くことができました。2日間の活動の中で地元住人の方の家でサロン会開催し、集会場でクリスマスオーナメントづくりを行ったそうです。地元住人の方のお話には現在の町の雰囲気や当時の被害の状況そして今後同様の災害が発生したとき被害が大きくならないための対策を伺ったそうです。

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救援隊の皆さんが現地に行って感じたことは思ったよりも復興が進んでいないこと、仮設住宅生活が長期化していること、コミュニティが弱体化していることでした。このことからこれからの活動は神戸からそして現地で活動を続け、人と会話する機会づくりを行いたいと話していました。報告会から継続的なボランティア活動は地元住民の心の支えになっていることが分かりました。

17日には被災地に学ぶ会代表の藤室玲治さんにお話を伺いました。先日の報告会から疑問に思ったこと、興味を持ったことを質問させていただきました。

まず、被災地に学ぶ会設立の理由を伺いました。藤室さんは以前より大学生のボランティアコーディネーターの活動をされていました。学生に被災地のことを知ってもらいたいという思いが大きくなり被災地に学ぶ会を設立されたそうです。そのため藤室さんの団体の活動は学生の方と行うことが多いです。団体の目的には被災地支援だけでなく人材育成があります。被災地支援と人材育成にはどのような関係があるのでしょうか。藤室さんは学生に現地の人とのコミュニケーション、特に「聴く」ということを大切にするように伝えているそうです。聴くことから被災者のニーズを知ることができ、支援の押し付けを避けることができます。そして被災地支援を通してその先のことにも学生自身興味を持たれるそうです。このことが人材育成に関係しているのではないでしょうか。自ら進んで学び、知識にし、そこからまた現地の人との交流を行う。このサイクルが続いていくことで一人の人間として成長できるのではないでしょうか。藤室さんは今後の学生に他大学との交流を期待されていました。他大学との交流もまた様々な知識を吸収できる貴重な場であると考えます。目の前のことだけでなく先のことにも興味を持つことは被災地にとっても学生にとっても重要ではないでしょうか。

次に現在の丸森町はどのような状況なのか伺うと災害発生から丸二年経過していますが依然として崩れた河川や岩、集落も崩れた家は撤去されましたがそのままだということでした。復興住宅の建設も遅れ、仮設住宅も一部解消しましたがまだ残っています。仮設住宅は狭く新型コロナウイルスの影響で人との交流も減っておりストレスが溜まっておられる方もおられるということでした。今後もオンラインで現地の方と交流を続け、感染状況が落ち着けば現地に直接伺い活動したいとおっしゃっていました。

被災地への継続的な支援の重要性はオンライン報告会で知ることができましたが、被災地が被災地でなくなる時はいつなのでしょうか。藤室さんに伺うとそれは人それぞれであるとおっしゃられました。生活再建ができて災害の影響を感じない人にとっては被災地ではなく、まだ災害の影を感じている人にとっては被災地であるように現地の人たちの間には意識のギャップがあります。支援を必要としている人に対して活動を行うことが自分たちの活動だとおっしゃられていました。しかし、それは簡単ではないそうです。理由は、どのような支援が必要か調査しなければならないのですが、現地の人からお話を伺うことは何回も通わないとできないからです。このことからも継続的な支援の大切さを感じます。

今後日本でボランティア活動は根付いていくでしょうか。藤室さんは現在若い人の災害ボランティアの数が減少していると言われました。昔と違い大学生も忙しくなり、そもそもの大学生の総数が減ってきていることが要因ではないかと言われていましたが現在はシニアのボランティア参加者が多いそうです。今後日本は災害発生回数が多くなってくるとの予測がされています。従って災害ボランティアの必要性は増してきます。だからこそ経験・技術の継承が重要になってきます。また、現地の人も若い人が来ると安心し、よくお話をされるそうです。このような点から藤室さんの団体の活動はとても意味があると思います。

被災地支援は災害発生直後大きく取り上げられます。しかし、その後の活動はあまり知られていません。私も今回の報告会・インタビューと通して活動内容、継続的な支援の大切さを知りました。被災地の人が今どのようなことを求めているのか、声を「聴く」ということが今後一番重要だと考えます。災害は町だけではなく、人とのつながりも破壊してしまいます。災害ボランティアはその破壊されたつながりを結びつける接着剤のような役目を果たしているのではないかと思います。




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