- 2014年10月 1日 14:56
- 助成団体の活動紹介
インターナショクナルでは「すべての人に、おいしい笑顔を」をコンセプトに食材を絵文字で表した食材ピクトグラムの開発や普及促進、食事を通して文化の多様性に対応できる人づくりのための教育活動を行っています。
この活動は、代表の菊池さんの学生時代にボランティアを通じて知り合ったサウジアラビアの方との食事の際に、イスラム教徒である彼らが安心して食べられるお店がなく、日本での食事を楽しんでもらうことができなかったという体験が大きなきかっけとなり、大学で留学生を対象にヒアリングを行ったことから始まりました。
その後、夏祭りで模擬店に宗教戒律に関係する食材について、日本語と英語で表示したポスターを作るものの、他言語への対応を求める声を受け、その後の学園祭では使用言語の影響を受けないピクトグラムを用いた表示が始まります。
徐々に地域の大学の学園祭や飲食店で導入され、お店の方や留学生など様々な利用者の声を集め、ピクトグラムは改良が進められました。次第にデザインや品質への声も受けるようになり、国際規格に対応した現在の食材ピクトグラムが開発されました。
国内外1500人以上の人々へのモニタリング調査を行い、理解度や視認性を確認したうえで、年齢や国籍、言語を問わず伝わるように作られたものがこちらです。

宗教戒律とアレルギーに対応
また、活動を進めていく中で「edge」や「社会イノベータ―公志園」といったコンペティションに参加し様々な経験を積み、実績を残していきました。
そして、2012年ごろになると、関西国際空港内の各店舗に導入され、駅ビルやホテルなどへの普及も次第に進んでいったそうです。また、日本で行われた国際会議やアジア大会にも食材ピクトは利用されたそうです。

現在は、成田空港や御殿場のアウトレットモールをはじめ、300以上のホテルや450店舗を超える飲食店など、観光地など外国人が多く訪れる地域を中心に日本各地へと食材ピクトは広がっています。当事者だけでなく、企業側からも利用者との食材のコミュニケーションが取れるとのことで大変好評のようです。
また、食を通した社会教育の面では今までにワークショップや講演を80回ほど行っており総計6000人近くの人々が参加しました。多様な価値観が理解できる人づくりも着実に進めておられます。

今後は、パートナー企業と協力して、食材ピクトの普及を2020年までに、全国50000店舗を目標に進めていくそうです。しかし、食材ピクトの普及が進む一方で、食材ピクトの表示品質の管理が不十分な店舗も散見されており、これからは監査やアドバイス、人材育成といったサポート体制づくりに力を入れていくそうです。
東京オリンピックの開催もあり、日本には今後、これまで以上に外国人観光客が増加することが見込まれます。和食が無形文化遺産になったこともあり、日本での食事を楽しみに訪れる観光客も多いのではないでしょうか。また、近年は食物アレルギーを持つ子どもたちが増加しているという報告もあるそうです。そのような中で、食材ピクトグラムによって宗教やアレルギーによって食べてはいけない、食べられないものがある人も安心して、食事が楽しめるような食環境を整えていくこの活動は、今の時代にまさに求められている活動であると感じました。
