- 2019年3月18日 10:32
- 助成団体の活動紹介


この日のイベントの後半は、映画「キセキの葉書」で女優・鈴木紗理奈さんが演じた、障がいを持つ娘と認知症を発症した郷里の母親を介護してきた童話作家の脇谷みどりさんご本人の講演会でした。
講演会の中で、脇谷さんは娘さんのお世話に追われうつ状態になっていた自分に、障がいを持ったこどもを育てた経験のあるご近所の母親から「全ては自分やからね」と言われてきたことがきっかけで、ある時「全ては自分次第」と思い直して、もう一度自分らしい生き方を取り戻すべく夢だった童話作品を書き出して作家デビューしたエピソードを話されました。
会場に来ていた当事者の人たちには、目先のケア児のお世話に追われるだけでなく、自分らしい生き方をすることが、ケア児にとっても励みになるというメッセージに、心が響いたのではないでしょうか。
講演の後半で、遠方に住む認知症になった母親に、「くすっ」と笑える日々の話を書いた葉書を約5千枚送り続けて、母親がそれで元気になったことを紹介されました。しっかり自分らしく意志表示をしていれば、周りに助けてくれる人が現れてくることを、脇谷さんは会場に伝えてくれました。

この日の参加者は決して多くはなかったのですが、医療・教育・福祉関係の方、行政の方、保護者の方、当事者のお子様達など、様々な立場の方々が、それぞれの立場で共通して学べたこと=やさしさ・自分らしさを大切にすることを持ち帰れたのだと思います。
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「NPO法人そらしど」は、多様な障がいを持たれたお子さんの母親たちが集まっていることが特徴で、「そらの向こうの希望に向かって、どこにどんな子が生まれても愛され、受けとめられ、必要な支援が受けられる社会へ」をミッションとして、各メンバーが経験してきたことを当事者間で分かち合う活動や、障がい特性などについて一般の人々に知ってもらうための活動に取り組まれています。
「NPO法人そらしど」はこれまで2度助成させて頂き、またここ数年は神戸市のNPO等アドバイザー派遣事業でもご支援してきて、真摯に「誰にもやさしい社会」を目指されていることに、いつも心改まる思いを持っています。
今回の医療的ケアが必要とされるお子さんをお持ちの保護者へのヒアリング調査研究や脇谷さんの講演会を経て、それらの取り組みのコアになる考え方が明確になってきたのではないでしょうか。これからも「NPO法人そらしど」らしい、各メンバーの個性を活かした活動が展開されていくことを期待したいと思います。

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