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NPO法人陽だまりの会・たらぶ主催の講演会 取材記

2024720() あかし保健所1階多目的ホールにて開催された講演会に参加いたしました。

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こちらの講演会は、ひきこもりの方の伴奏型支援を行う団体である陽だまりの会・たらぶさんが主催されました。講演内容は、『ここで、もう一度ひきこもりについて考える』というテーマに沿って、3つに分かれたプログラムで構成されています。現在、日本では、ひきこもり状態にある人が大幅に増加しており、非常に問題視されています。ひきこもりの当事者の方や周りにひきこもりになっている人がいる方に限らず、沢山の方にひきこもりとは何なのか、どのような支援を行えば良いのかなどの基礎的な情報について、改めて知る・学ぶ機会となっていました。

まず、あかし保健所相談支援課 明石市ひきこもり相談センターの方々から、お話がありました。テーマは、『ひきこもり最前線?ひきこもりの理解を深めよう?』です。○×クイズ形式でひきこもりの基礎知識についてお話しされていました。誰しも必ず1度は耳にしたことがあるひきこもりという言葉ですが、ひきこもりって何?と聞かれるとどう答えて良いかわからない人も多いのではないのでしょうか。また、もしも身近にひきこもりになっている人がいたら、どのように理解・対処すれば良いのかわからない人がほとんどだと思います。他人事のようで誰しもがなり得るひきこもりについて改めて考えるきっかけをいただいたように感じました。

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次に、オンライン形式でたかみやこころのクリニック院長 高宮静男先生から、お話がありました。テーマは、『現代のひきこもりとは??新しいアプローチも含めて』です。沢山のひきこもり状態にある人を見てきた先生から、実例を用いながら、ひきこもり状態の方に、周囲の人間はどのような支援を行えば効果的なのかお聞きすることができました。先生のお話の中で、最も強調されていたのは、ひきこもりは病気ではないという事です。例えば、よく挙げられる症状として、睡眠障害や鬱状態などが挙げられますが、これらは全てひきこもりの症状ではなく、二次障害にあたるとのことでした。また、年代別で注意すべき、ひきこもりになりやすい人の特徴や、症状について、細かく解説なさっていました。ひきこもりはあくまでも、自分を守る方法ではありますが、決して楽な方法ではありません。周りの人間や機関からの支援を受けることで、ひきこもりによる悪循環を回避することができると教えていただきました。

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最後に兵庫県立大学看護学部教授 川田美和教授から、お話がありました。テーマは、『ひきこもり支援における対話的アプローチの可能性』です。ひきこもりになった場合、あるいは身の回りの人がひきこもりである場合、どうしてもその状態から早く抜け出そうと焦って必要過程を飛ばしてしまう恐れがあります。しかし、それは根本の解決にならず、新たな病気の二次被害をもたらす可能性があり、ひきこもりを長引かせてしまいます。そこで大切なのが、対話的アプローチです。このお話の中で最も印象に残っているのは、何も決まらなくても良いということです。話をする際、限られた時間の中でつい結果や結論を求めて対話を進めてしまいます。しかし、何も決まらなくても良いのだとおっしゃっていました。何も決まらなかったと言うことを受け入れ、双方が確認し、未来に繋げる耐性が重要であるとお話しされていました。ひきこもりになったときは、それまでと同じような日常生活を行うことが困難になるということですので、つい早く何とかしなければと考えてしまいますが、人生を長い目で見たときに、将来の自分が、安心して元の日常生活に戻していけるよう少しずつ段階を踏むことが大切なのだと感じました。

講演会の主催団体であるたらぶさんは、ひきこもり状態の方へのプラットフォーム伴走型支援団体として、202388日に設立されました。団体設立のきっかけは、2023531日に国会にて設立した、孤独・孤立対策推進法です。この法律は、国及び地方において総合的な孤独・孤立対策に関する施策を推進するため、その基本理念や国等の責務、施策の基本となる事項、国及び地方の推進体制等について定めるものです。たらぶさんは、社会の変化により個人と社会及び他者との関わりが希薄になる中で、日常生活若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、その当事者が住みやすい社会づくりに貢献することを目的としています。これまでに支援事業として、三度、ひきこもり支援に関する講演会を行っています。今回参加させていただいた講演会もそのうちの一つで、参加者の方からは、毎回好評だそうです。講演会を通して、基礎知識を学ぶことができるだけでなく、専門家の方に質問を行うことができることも魅力の一つです。また、ひきこもり支援に興味を持ち、開催地付近に住む市民の方が足を運んでくれる事も少なくないそうです。更に、ひきこもり当事者の方に対し、プラットフォーム作りの支援を対面・オンラインにて行っています。当事者と各支援団体の仲介をするなる事はもちろんですが、その裏側では、各支援団体と綿密に連携し、基盤作りを行っているそうです。このような支援活動は、ひきこもり支援に関する情報をより多くの方に知ってもらえるよう、今後も講演会を続けていくご予定です。お時間のある方は是非一度支援行事に足を運んでいただけますと幸いです。

参考文献

内閣官房,孤独・孤立対策推進法,https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/suisinhou/suisinhou.html,2024.07.26取得

 

                   甲南女子大学 檜垣楓


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